通勤電車で見た、見えない優しさ

先日の出勤時に遭遇した出来事です。その日は、早朝に起きた事故の影響で、阪急電車のダイヤが大幅に乱れ、梅田から三宮の区間は普通電車しか動いていませんでした。駅には人が溢れ、車内はすし詰め状態。いつにも増して、皆が疲れた顔をしていました。

そんな私も「始業時間に間に合うかな~」なんて、ぼんやりと考えながら、優先座席の前に立っていました。すると、六甲駅を過ぎたあたりで、突然「大丈夫ですか?!」という声が聞こえ、私の目の前に座っていた女性が急に立ち上がったのです。私は全く気づいていなかったのですが、どうやら私の背後で学生さんのような女性が座り込んでいたようでした。学生さんは真っ青な顔で「大丈夫」と言っていましたが、どう見ても調子が悪そうで、立ち上がった女性の「座ってください」という声に押され、「ありがとうございます」と声を振り絞って席に着きました。車内には「良かったね~」という、温かな空気が流れました。

そして電車が神戸三宮駅に到着し、席を譲った女性は「お大事になさってくださいね」と学生さんに声をかけて、颯爽と下車されました。その時、女性の通勤バックに《お腹に中に赤ちゃんがいます》というキーホルダーが掛かっているのが見えました。

私は第三者として居合わせただけですが、この光景を見て、深く考えさせられました。私たちは皆、目には見えない何かしらの事情や悩みを抱えて生きています。けれど、自分の事情をいったん脇に置いてでも、相手を気遣う気持ちを見せること。それが、本当に誰かの助けになることを肌で感じました。

妊婦さんご自身も大変な状況のはずなのに、それを差し置いて、誰かの異変に気づき、すぐに行動に移す優しさ。私は改めて、「優しい人は強い」「強い人は優しい」のだと感じました。優しくて、そして強いあの妊婦さんに、元気な赤ちゃんが産まれますように!と、後ろ姿に願いました。

肌寒くなるとこの時期は温かいココアがほっとします

忙しい日々の中でも、周りに目を配る余裕を持てるよう、自分自身も心がけていきたいと思った出来事でした。

投稿者:ミヤケ


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